Loading...

高速読み込みは下をクリック

ページへ移動

アニメSSまとめ速報

2chのSSまとめブログの記事を集め掲載しています。
アニメSSまとめ速報 TOP  >  ドラゴンボール >  ヤムチャ「ジョークぐらい言わせろよ・・・な。」

ヤムチャ「ジョークぐらい言わせろよ・・・な。」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 04:35:06.74 ID:A0qppQAI0

俺はそう言った後、かつて愛し合っていた相手に 
安いコーヒー代を渡して、上品な喫茶店を後にした。 
これは、今までの思い出代・・なんてつまらない事は言わない。 
きっと言ったって、アイツは俺を止めなかっただろう。 

外に出ると、雨が降っていた。 
梅雨らしい、蒸し暑い温度と生ぬるい雨が俺を濡らす 

・・・今日は、歩いて帰ろう。 

丁度、女房役のお供も居ない。 
知り合いが居ないこの街を俺は嬉しく思った。 
今見られたら、なんて言えばいいかなんて俺にはわからない。 
ブルマにしては気をきかせてくれたんだな・・。と、惚れていた女を無理に褒めてみた。 


雨は一層激しくなるばかりだ。 
早く帰らないと、そう思う反面、足は重い。 
歩きながら俺は、静かに昔を思い出していた・・・。

3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 04:39:50.54 ID:A0qppQAI0



―――何時からだろうか。 

妙なすれ違いがあった。 
ブルマはよく、俺に「浮気しただろ」だの「女の子にモテようと思って」だのと怒ってばかりだった。 
正直俺は他の女に興味なんてなかったし、ブルマにふさわしいようにと努力ばかりしていた。 
見た目もそうだし、頭もそうだし、体もまた。 
不慣れなものが多すぎる俺を、ブルマは優しく教えてくれた。 
俺もまた、俺が知っていることをブルマに教えてきた。 

キスも、デートも、セックスも。 
俺は何も知らない男だった。 
セックスはブルマもしらない、大人の行為であったが。 
キスぐらい、デートぐらい、とブルマは積極的に教えてくれた。 
・・・だから、キスも上手くなったんだろう。 









4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 04:42:27.96 ID:v6WIZySJO



ムチャしやがって・・・ 









5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 04:44:35.93 ID:A0qppQAI0



ブルマは優しい女だった。 それでいて激情をもっていた。 
少しの疑惑があれば、彼女は「浮気だろ」と怒りを爆発させて俺を責めた。 
俺は真剣に怒る彼女を見て、苦しみ嘆く彼女を見て、何も言えずに謝った。 
―――たとえそれが彼女の勘違いであってもだ。 

仲直りをする時は、いつもキスをする。 
そのあとズルズルとセックスをする。 
仲直りのセックスほど、燃えるのだとブルマは笑って言っていた。 
反面、俺は憂鬱になった。 

嫌いな訳じゃない。 
ただ、このような繋がり方が正しいかは俺にはわからなくて――― 


また、いつもの癖が始まった。 
理由は、俺の帰りが遅かったから。 
いつもは連絡をいれるのだが、その日は忙しくて入れる時間が無く 
結果的に朝帰りになってしまったからだ。 









6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 04:49:03.18 ID:A0qppQAI0



「どうせ違う女の家にでも泊まってきたんでしょ?!」 

彼女は泣きじゃくりながら、俺に向かって物を投げる。 
花瓶、枕、写真立て、ペンチ、雑誌・・ 
近くになればなんでもありだ。 
俺は避けながら、言い訳まじりに謝る。 

「ごめん、ごめんって! 仕事が立て込んでて連絡いれれなかっただけだって!」 

「嘘おっしゃい! どうせ女と仲良くセックスでもしてたんでしょ?!」 

泣き叫びながら彼女は言う。 
俺は違う、と言うけれど彼女は聞かない。 
ひたすら、泣いて責めるだけなのだ。 

「聞けよ、ブルマ!」 

俺は彼女を押さえこんで怒鳴る。 
そうすると、彼女は黙るんだ。 









9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 04:51:54.36 ID:A0qppQAI0



「俺はそんな事してない。 絶対にだ。」 

俺は真剣に言う。 
彼女は泣きながら、『本当・・?』と聞く。 
弱弱しい、今にも消えそうな声で。 

「ああ」 

小さく返事した後に、俺はキスをする 
彼女は泣きながら、キスで返してくれる。 

いつものパターンだ。 
・・・それでも、俺は幸せだった。 
きっと、それが幸せなんだと心が勝手に決めていたんだ。 



―――俺が死んだとき、それが壊れたんだ 









12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 04:56:47.20 ID:A0qppQAI0



死んだとき、彼女は泣いてくれた。 
嬉しかった。嬉しくて、もう一回死んでもいい!と蛇の道、叫んでしまうぐらいに。 

界王様のとこで修行している間、俺はブルマの事ばかり考えていた 

早く、お前に会いたい――― 

そんな、小さな悲しみをひとつこぼしては修行に励んだ。 
帰ったら、きっと極上の笑顔と甘いキスで出迎えてくれる 
そう信じて俺はその日を夢みたんだ。 



生き返った後、そこにいたのはかつての強敵だった 
俺は恐怖した。でもそれ以上に。 
彼女と会える喜びのほうが大きかったんだ。 


「ヤムチャ―――!」 

「ブルマ!!」 


しっかり抱き合った後、キスをする。 
幸せだった。 何も変わらぬ彼女が一段と綺麗に見えて―――。 
ただ、愛しかった。 









15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:01:04.40 ID:A0qppQAI0



生き返った後、生活は昔と同じように戻った。 
俺は仕事をして、彼女のふさわしい男になるためにがんばった。 
彼女は彼女で、自分の仕事に精を出していた。 

すれ違いが多くなり始めてはいたが、夜は一緒に過ごした。 
セックスしない日もあったが、それでも彼女は幸せそうに笑っていた 
だから、この日常が変わらないものだと思っていた。 


その日、俺は仕事が遅くなると彼女に伝えると電話を切った。 
この仕事が終われば、俺は彼女に言うことができる。 

『結婚しよう』 

とびっきり上等なレストランで言う言葉。 
そして渡そうと決心した、小さな指輪。 
彼女の小遣いで買えるような、小さい石の指輪。 
俺の2年分の給料の結晶だ。 









17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:04:40.44 ID:A0qppQAI0



「早く、言いたいな。」 

独り言にしては大きな声だろう。 
でも構わない。 今は幸せなんだから。 

眠い目をこすって、俺は仕事を続ける。 
夜はまだ始まったばかりだ―――― 





「許して。」 

彼女はこう言った。 
俺はなんのことはわからないまま、返事できなかった 

「許してちょうだい、ヤムチャ」 

彼女は涙を流しながら言う。 
そして、指輪をはめずにレストランから出るのだ。 
俺は置かれた指輪を見つめたままだった。 
彼女を追えずに、ただそこに座ったまま・・・。 









18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:08:32.85 ID:A0qppQAI0



『許してちょうだい』 

君は、俺に何かしたのか? 
俺は、君に何かしたのか? 
わからない、わからないんだ。 

指輪がむなしく光っていた。 
その光が妙に頭にこびりついて・・・。 


その後、彼女は俺に会わなくなった。 
理由はわからない。 彼女の母親も、父親も何も言わないからだ。 
電話すらでてくれない。 

彼女の謝罪の言葉ばかりが頭をかすめる。 
俺は何をしたのか。 

結婚、それが彼女にとって酷だったのか。 
そう思うと、俺は罪悪感に襲われて、仕事に手がつかなかった。 









20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:11:38.50 ID:A0qppQAI0



『許してちょうだい』 

今なら、その理由が分かる。 
彼女が言った言葉、それは。 


「ヤムチャ、私の子よ。」 
「でも、あなたの子じゃない。」 
「この子は。」 


彼女は泣きながら言う。 
この子は、ベジータの子なんだと。 


「・・・堕ろせなかった。」 
「殺すことなんて出来なかった・・!」 


彼女は泣きながら言う。 
俺は小さく笑って、彼女に言うんだ。 


「なんで泣くんだよ、おめでたい事じゃないか。」 
「大事にしろよ。 お、男か?きっと強くなるぞ~」 


俺は笑う。 心の中はどしゃぶりの雨だというのに。 









23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:14:44.27 ID:A0qppQAI0



「名前は、トランクス」 
「名前をつけたのはパパなの。」 


彼女は泣きながら言う 
子供は、母親が泣いてるもんだからつられるように泣きはじめた。 
俺はあわてて、あやす。 


「ほら、ブルマ泣くな! トランクスが泣いてるぞ!」 

「でも・・でも・・・」 

「いいから、笑ってやれ! 子供を泣かす親があるか!」 


俺はあやしながら言う。 
彼女は無理やり笑って、一緒にあやす。 
そうだ、君は笑ってるほうがいいんだよ。 









24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:17:31.31 ID:A0qppQAI0



暫くしてから、彼女から連絡があった。 

『東の都で話そう』 
『そこで決着をつけよう』 

 
俺は、それを了解した。 
覚悟は決めていた。 

俺は結局ふさわしい男にはなれなかった。 
俺は強くはないし、金もない。顔は・・まぁ自信はあったが、駄目だった。 
彼女には強くてしっかりした、それでいてちょっとは男前なやつがお似合いなんだ。 
ベジータほど適任な男は居ないだろう。 
悔しいけど、負けた。 悔しいけど・・・な。 









29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:22:39.61 ID:A0qppQAI0



東の都、そこは比較的落ち着いた都会だった。 
俺にとっては、苦い思い出が転がる場所でもあったが。 
指定したの喫茶店は、初デートの場所でもあった。 
彼女らしい、だなんて言いはしない。 

―――その喫茶店は、若い俺達には窮屈な場所で 
今の俺達にとっては広すぎる場所だった。 
流れる音楽が、ムードを作ってくれる。 
若い俺達には、それがくすぐったかった。 
今の俺達には、とても悲しくて・・・。 


「・・・私が」 


彼女は、口を開く。 
彼女は下を向いたまま言う。 


「私が妊娠したのは、ベジータが悪いんじゃないの。」 
「私が、ちゃんと避妊しないから悪かったの。」 
「私が、私が全部悪かったのよ・・!」 


彼女は言う。 
彼女は優しい女だ。 それでいて酷い女。 
そう言われたら、ベジータを責めれない。 
君がすべてを被るつもりなんだろう? 









34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:26:58.53 ID:A0qppQAI0



「・・・言うなよ」 


俺は笑う。 
手はポケットの中漂う。 
穴があいたポケット。 すかすかして気持ち悪いポケット。 

彼女は言う。 
泣きそうな声を、一生懸命絞り出して言う。 


「あの夜、アンタが帰ってこなくて。」 
「偶然ベランダに出たの。 そしたら」 
「ベジータがいたの。 アイツ、すごくさびしそうな顔をしてた。」 
「・・だから、話し相手にでもなってやろうと思って。」 


彼女は言う。 
俺は笑いながら聞く。 彼女のラブロマンスを。 


「抱かれるつもりなんてなかった・・・!」 
「ただ、アイツの眼が、忘れられなくて。」 


彼女は言う。 
俺は笑いながら、口を開く。 


「幸せになれよ、親友。」 









36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:29:08.53 ID:A0qppQAI0



「え・・・?」 


彼女は顔をあげる。 
俺は笑ったまま、安いコーヒー代を置く 
そしてこう言うんだ。 


「ジョークぐらい言わせろよ・・な。」 


さようなら、俺の初恋 
さようなら、俺の青春 
幸せだった。全てが。 










38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:34:05.13 ID:Gbgwaf4DO



ヤムチャしやがって… 









39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:34:22.20 ID:A0qppQAI0



雨は止まない。 俺は空を見る。 
真っ暗で、空のひとつも見えやしない。 
俺は息をめいっぱい吸う。 
そして大声で叫ぶんだ。 


「馬鹿野郎ぉおおおお!!!」 


幸せになれよ、親友。 
俺の分よりも、幸せになってくれ。 
そうしなきゃ、俺が報われない。 
この歳まで独身貫いた俺が・・さ。 



少しした後に、雨は止んだ。 
髪からしたたり落ちる水は、温かくて。 
家までもう少し。 相棒はなんていうだろうか? 
きっと、慌てたようにタオルを持ってきて、泣くんだろうな。 









41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:37:10.17 ID:A0qppQAI0



「ジョークぐらい言わせろよ・・か。」 


本当はジョークなんかじゃない。 
愛していたから、言ってしまったんだろう。 
恋人は無理でも、親友ぐらい言わせてくれ。 
君のそばに居たいんだ、少しでも・・。 
未練がましい男だろう?君が知ったら笑うだろうから、言わないでおくけどさ。 


「・・・失恋記念日に、乾杯ってか。」 


そう言って、家のドアを叩いた。 
中には、俺の相棒が待ってる。 
ビール冷えてるかな、なんておっさんくさいことを思いながら 
今、扉を開くのを待っている。 



END 









43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:38:57.71 ID:A0qppQAI0



言っておくが、俺はブルマが嫌いなわけじゃない 
それ以上にヤムチャが好きなんだ、わかってくれ 


よしブルマ編いくか 









45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:42:20.55 ID:A0qppQAI0



「・・・300ゼニー」 


私は、彼が置いていったコーヒー代を口に出してみる。 
若い頃、あなたったらなけなしの給料から出してくれたわよね。 
一杯150ゼニーのコーヒー、無理しちゃってサ。 

それでも幸せだったのは、愛されてるって確信があったから。 
何時からだろう、あなたを素直に愛せなくなったのは。 
こんな女だから、あなたに振られたのかしら。 


「ジョークぐらい言わせてよ・・ね。」 


あなたの残り香が、鼻をくすぐる。 
雨は止まない。 あなたは、この雨の中歩いているのかしら・・? 









46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:45:44.12 ID:A0qppQAI0



怖かった。 
あなたが私の元を去っていくのが。 
理由はいっぱいあった。 
闘い、女性関係、交友関係・・・ 
言い始めたらキリがない。 


幸せな反面、苦しくてしょうがなかった。 
泣きながら、喚くなんていやな女だったね。 
それでもあなたは愛してくれた。 


怖かった。 
あなたを盗られるじゃないかと。 
あなたほどの男、私にはもったいないのよ。 
昔願った、Mr.ドリーム。 
手に入ったとたん、襲い来る恐怖。 


夢の中だけでよかったのかもしれない。 
そう、夢だけで・・。 









49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:48:57.12 ID:A0qppQAI0



私たちのケンカはいつもワンパターンだった。 
私が一人怒鳴り散らして、あなたがなだめて、キスをする。 
そしてずるずるとセックスをするのだ。 
私は「燃える」だなんて言ってごまかすけど 
本当はただ、怖かっただけなのだ。 


「ブルマ・・・大丈夫だ。」 


あなたは優しくささやく。 
教えて、あなたの優しさはどこから来るの? 
私の苦しみはどこへいくの? 
私はわからないまま、あなたを愛した。 



――――あなたが死んで、全てが変わった。 









51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:52:25.88 ID:A0qppQAI0



ベジータ、最初は怖かった。 
それでいて、美しかった。 
孤独が似合う男で、でもどこかさびしそうで。 
私は兄弟ができたかのように優しく構った。 


ある夜、ヤムチャは帰らなかった。 
不安で眠れない夜、外に出る。 

そこにはベジータがいた。 
さびしそうに空を見上げるアンタ。 


「ね、話さない?」 


私は誘う。 
アンタは嫌そうに、舌打ちだけを返す。 
私は構わず話し続ける。 
話は、途中から色を変え始めた。 









52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:54:36.80 ID:A0qppQAI0



「うふふ、本当に困った男なのよ!」 
「本当に・・・」 


何が悲しいのか、涙があふれ出た。 
ヤムチャを想うと、涙しか出ないのだ。 


「や、やだ、あたしったら・・」 
「ごめんね、私もう寝る・・」 

「待て、女」 


アンタは私を止める 
私は泣きながら、アンタの眼を見つめる。 


眼に惹きつけられた。 
寂しさと熱を灯した眼に。 









53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:56:59.38 ID:A0qppQAI0



3流のメロドラマみたいな展開。 
今、私はこの男に抱かれている。 

激しい愛撫に流されていく。 
激しい攻めに流されていく。 
激しい光に飲み込まれていく―――。 


真っ白な世界の中、誰かが呼んでいる。 
その声は誰なのか・・・私にはわからない。 




私の中に、何かが溢れ出た。 









54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 05:59:27.92 ID:A0qppQAI0



「う、うそ・・」 


私は自覚する。 
私は、駄目な女なんだと。 

泣いたってどうにかなる訳ないのに。 
涙だけが出て、止まらない。 

シャワーを浴びて、服を着替えて 
あなたの帰りを待つ。 
あなたは幸せそうな顔で帰ってくるんでしょう。 
そして、キスをして少しだけ眠るの。 

・・・この唇はもう、あなただけのものじゃない。 
そして、この体も・・。 

そう思うと、私はあなたに会うこともできない。 
それなのに。 









56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 06:02:44.21 ID:A0qppQAI0



「結婚してほしい」 


私は狂いそうになった。 
あなたは残酷な男ね 
頭の中、いろんな事がぐるぐる回る。 

私は泣きながら、レストランを出る。 
待ち望んで結果、少しばかり遅かった結果。 
ぐるぐるといろんな事が回ってる。 


―――私は、貴方に会えない。 
そう言って、あなたを追い出した。 

酷い女、そう思ってくれていいの。 
いっそ、嫌いになってくれたら・・・ 


そう呟いて、私は泣き続けた。 









57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 06:05:58.04 ID:A0qppQAI0



気づくと、私のおなかの中に「いのち」が宿っていた。 
誰の子かはわかる。 ・・・それは望んでいない「いのち」 
私はどうすることもできない。 

その「いのち」を殺すことなんて私にはできない。 
私は黙って育てることにした。 
時がたてば、全てがわかってしまう。 
でもせめて今だけは・・そう思い、黙っている。 


「ヤムチャ、許して・・・」 
「私には殺すことなんて出来ないの。」 
「たとえ、これが望まれないいのちであっても。」 


私はおなかを撫でる。 
中では小さな命が笑っている。 
分かるの。 ・・・分かってしまうの。 









60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 06:09:06.72 ID:A0qppQAI0



生まれた後、彼は私のところへ来た。 
皆の前では笑っていたあなた。 
きっと私を責めるんだわ。 彼にはその資格がある。 


「私の子なの。」 
「でも、あなたの子じゃないわ。」 


私は酷い女。 
あなたはきっと怒ってるだろうに。 
泣いて謝ったって駄目だって、分かっているのに・・・ 


「泣くなよ」 
「元気そうないい子じゃないか」 
「良かったな」 


優しいあなた。 
私はそんなあなたを愛している。 
・・・愛していた。 









61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 06:11:42.52 ID:A0qppQAI0



「ほら、泣くなよ!子供も泣いてるじゃないか!」 
「笑ってやれ、な?」 


私の背中を優しく撫でた後、トランクスをあやすあなた。 
私も無理やり泣き止んで、一緒にあやす。 
トランクスは、嬉しそうに笑う。 ごめんね、こんなお母さんで。 
ごめんね、こんな女で・・・。 


「ごめん、また連絡するわ。」 


そう言って、はんば強制にヤムチャを返す。 
・・・別れよう。 
私はそう決心した。 









62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 06:15:12.43 ID:A0qppQAI0



指定した場所は、初デートの場所。 
昔の私が背伸びして見つけた喫茶店。 

大人な音楽 大人な店内 
若い私たちには窮屈でつまらない場所。 
それでも、私は幸せだった。 そしてあなたも。 

音楽を乱すベルの音。 あなたが来た合図。 


「ブルマ・・」 


優しい眼で私も見つめるあなた。 
最後まで、酷い男。 
いっそのこと、責めてくれればいいのに。 
めちゃくちゃに罵って、ほっぺぐらい叩いてくれればいいのに。 
優しい男。 そんなあなただから愛せたのね。 









63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 06:17:31.96 ID:A0qppQAI0



少し話した後に、私は別れを切り出す。 
あなたは笑いながら、それを聞く。 
泣きそうな私は下を向いたまま、言葉を吐き続けた。 


「・・幸せになれよ親友。」 


彼は優しい声でそういった。 


「え?」 


私は顔をあげる。 
彼はポケットから、300ゼニーを出すとそれを机に置いた。 
そして笑いながら言うのだ。 


「ジョークぐらい言わせろよ・・・な」 









65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 06:21:25.89 ID:A0qppQAI0



雨は止み始め、私も喫茶店をでる。 


「冗談にしてはキツすぎるわよ・・馬鹿。」 


私は歩きながら呟く。 
あなたは優しすぎたのよ。 
それでいて・・・。 


「ばいばい、Mr.ドリーム。」 


私は、夢見る少女を捨てた。 
夢で会った理想の男性はもう居ない。 
大人の階段を上りきった私にはもう必要ないの。 
冷たい女かもしれないけど、構わない。 


夢見たあの頃より、空は光輝いていた。 



END 









66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 06:21:38.56 ID:gReO+3xMO



いつも明るいけどこんな鬱な事もヤムチャは乗り越えて… 
来年から俺も本気出す 









106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 07:14:03.84 ID:A0qppQAI0



このスレを見て、ヤムチャの見る眼が少しでも変われば幸い 









109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 07:27:27.95 ID:r/wNcmTA0



>>106 
おつ 









108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/15(月) 07:27:09.64 ID:r/wNcmTA0



こんなかっこいいヤムチャ初めて見ましたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 
ヤムチャさん今までバカにしてすいませんでしたwwww
関連記事


損切り